「上司が嫌いで限界」と検索したくなる感覚、私にも覚えがあります。顔を見ただけで体温が下がる、休日の夜に翌日のことを考えて胃が痛くなる。理屈ではなく、体のほうが先に反応していました。誰かに話しても「気にしすぎ」で終わってしまう。だから私は、感情そのものを何とかするのをやめて、感情の下にあるものを分けることにしました。
つらいと人に話すと、「もっと大人になれ」「どこに行ってもそんな人はいる」と返ってきます。言っている人に悪気はないのだと思います。ただ、そう言われるたびに、私は「私の受け取り方がおかしいのだろうか」と考えて、余計に苦しくなっていました。
嫌いという感情は扱いにくいものです。数字や出来事で説明しにくいからです。だから私は、嫌いという気持ちを消そうとするのをやめて、「嫌い」の下に何があるのかを見る方に切り替えました。感情を否定しないまま扱う、という意味では、これが私にはいちばん効きました。
上司の言動を書き出して、次の2列に分けました。左が事実、右が私の解釈です。
分けてみると、事実の列は思っていたより短く、解釈の列が長いことに気づきました。解釈は、私の頭の中で勝手に増えていきます。事実と解釈が混ざったままでは、どこまでが本当の問題なのか分からず、限界かどうかの判断もできません。
※これは私個人のやり方です。怒鳴られる、物を投げられる、仕事を取り上げられるといったことが起きている場合は、日付と内容を記録し、無理をせず早い段階で公的な相談先(労働者健康安全機構など)に相談してください。
次に、書き出したものを2つに仕分けました。
私は長い間、変えにくいものに手を伸ばして、「この人に分かってもらう」ことに力を注いでいました。そこを目標から外し、変えられるものだけに力を入れるようにしました。これは諦めではなく、使う力を配分し直しただけです。実際、期待を下ろした日のほうが、帰り道の体が軽くなりました。
嫌いという感情が強いときの頭は、冷静ではありません。その状態で出す結論は、あとで理由が分からなくなりがちです。そこで2週間だけ、次のルールで過ごしました。
2週間ぶんの記録を見ると、私が思っていたより症状は特定の場面に集中していました。全部が嫌だったのではなく、週に一度の進捗報告の時間帯が特にきつい。それなら、対策を立てられる。
「2週間は決めない」と決めると、その間は決めなくていいので、気持ちの負担が減りました。ここで大事なのは、我慢する期間ではなく、判断を先送りする期間だということです。
順番を守ったのは、先に社内へ話すと、人間関係の負担がむしろ増えることがあるからです。社外で言葉を整えてから話すと、相談の内容が具体的になりました。
判断をひとりで抱えるのがつらくなったら、社外の人に話を聞いてもらうだけでも、少し距離が取れます。感情が落ち着いてから決めるための材料として使えます。
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ここまでは「働き続ける前提」で書いてきましたが、その前提が崩れることもあります。
※眠れない、動悸がする、食べられない、仕事のことを考えるだけで涙が出る。こうした状態が続くときは、判断を急がず、社内の相談窓口や産業医、労働者健康安全機構・よりそいホットラインのような公的な相談先を頼ってください。ここに書いたのは私個人の実感で、法律や医療についての助言ではありません。